新規就農研修生が離農する原因と改善策を考える

 

新規就農者の現状

 
新規就農研修生の離農率が35%と高い事を理由として、2019年3月22日に総務省が農水省に対し3つの項目を挙げて農業研修制度の改善を勧告しています。
研修生が挙げた離農する最も多い理由は「業務内容が合わない」「想定と違った」というものだそうです。
「自分に合わない」「想定と違う」を如何にして減らせるかを考えていきたいと思います。
 
 
引用元:新規就農者の35%が離農する現実──未来の農業の担い手を定着させる方法とは?|SMART AGRI
 
 

記事の内容
 
■「自分に合わない」を減らす
 
■「想定と違う」を減らす
 
■まとめ
 
 

「自分に合わない」をどう減らす?

 
新規就農といっても組織に就職する場合もあれば、農家として自身で起業する場合もあります。今回は研修として就労したり、就職する場合を中心に考えていきます。
「自分に合わない」という言葉の中身は色々な要素が含まれていると思います。思い当たるものを分けてみました。
 

気候が合わない

北国で、極寒の中での作業が本当に辛いという事もあるでしょうし、南国で、40℃以上あるビニールハウスの中で毎日作業するのが本当に辛いという事もあるでしょう。雨の日にカッパを着て農作業をする事もあります。気候の環境がどうしても合わないということがあるかもしれません。
 

私の経験
冬の北海道での外作業は本当に寒く、手足が冷たくて辛い作業になります。冬が来るたびに「来年の冬が来る前にはやめよう」と思いながら続けていた事を思い出します。
沖縄での農作業は日差しが強く辛かったのですが、埼玉などの内陸では風がなく蒸し暑くてとても辛い想いをしました。地域によってかなり環境が違うと思います。
 

地域、組織などの人間関係が合わない

田舎であればあるほど、地域環境の差が大きくなる傾向にあると思います。場所によっては行動のすべてが筒抜けで「プライベートが全くない」と感じることもあるでしょう。お酒の飲み方や上下関係など、合う人には良いけれど合わない人には本当に辛いという事もあるかもしれません。
村八分という言葉があるくらい、日本は同調圧力の強い国と言われています。農業は都会ではなく田舎で行われていることがほとんどなのでこの影響も強く受ける可能性もあります。また、地域によっては特殊な人間関係に遭遇する事もあるでしょう。
農業は他の業界に比べて大規模な組織は多くありません。その為、組織の仕組みや上下関係、教育制度などが整っていない所も多くあります。
家族経営+数人の従業員という形態も多く、その場合は家族の延長線上に組み込まれてしまい、コミュニケーションを含めた大半の部分を働く側が合わせなければいけない場合があります。自分に合っていればアットホームで心地よい職場になるかもしれませんが、合わない場合に経営者が改善してくれる可能性は低いと思われます。(経営者が組織に所属した経験の無い場合も多い)
面接の時や、研修期間はそういった点も考慮しながら過ごしてみると良いと思います。
 

作業内容が合わない

農業は業態が幅広く、穀物、畜産、野菜、果樹、花木と分けられ、そこから更に細分化していきます。
分類毎、作物毎に作業内容は大きく変わりますし、地域や、経営規模によっても作業方法が大きく変わります。更に担当する部門によっても全く違う作業になる事もあるでしょう。種類はいっぱいあります。
より詳しい種類を見てみたい方はこちらのサイトをオススメします。視野が広がるかもしれません。
 
農業・農産物分類:野菜・果物・花卉等の種類:農産物.jpカテゴリ |農産物.jp
 

事前もっとに触れて「自分に合わない」を改善する

百聞は一見に如かずという言葉どおり実際に見て体験するのが一番早いと思います。
農業関連の学校であれば、基本的に現場に出て実習する機会が整っているはずです。
転職を希望する社会人の方は、都道府県が主催する短期の研修や体験なども開催していることがあるので調べてみると見つかるかもしれません。
希望する地域や作物に実際に触れるのが良いと思います。まず、短期間で体験してみてそれから研修先を選んでいくと自分に合ったものを見つけやすくなるかもしれません。
私は、親元で農業を手伝い始める前からトマト栽培農場や葉タバコ・サトウキビ農家でアルバイトをした経験がありました。また、市民農園事業では年間30品目以上の栽培と栽培のインストラクターも行っていた経験がありました。それでも実際に農業を始めてみると大きく想定と違った事がいくつかあります。その一つをご紹介します。
 

私の経験
水稲栽培はイメージが悪くやりたくない農業の筆頭でした。特に関東の農家から「米作りは儲からない」「1年に1回しか使わない物に何百万も払わなければいけない」「作れば作るほど損する」と聞いていたので稲作をやろうとは思ったことはありませんでした。秋田に来てからも「これからは稼げない米ではなくて園芸にした方が良い」というアドバイスを受けたりしました。ただ「親が米をやっているのであればそれを続けないのは勿体ない、経営の柱としてお米は良い」という先輩もいました。
この地域には、地元情報誌が主催する稲作を勉強する塾があり「締め切りだったから一応申し込んでおいた、嫌だったら断っていいから」と親が申し込んでしまいました。こうなってはとりあえずやってから判断しようと思い、塾で教わりながら3反歩の田んぼで一年間栽培しました。「米作りは簡単、素人でも8俵はとれる」という人もいるくらいなので「それほど難しくないはず」と思っていましたが、やってみると奥が深く、手をかけた後に稲の反応もあって楽しくなっていきました。毎日の水管理が一番好きでした。しっかり教えてくれる先生、切磋琢磨できる塾生がいるのも楽しくなった要因だと思います。
 
人の意見の影響を受けて挑戦していないのであれば、一度挑戦してみるのも良いのではないでしょうか。やっぱり十人十色、合う人もいれば合わない人もいる。
情報や知識だけで判断しないようにしていくと自分に合ったものが見つかりやすいかもしれません。
 

「想定と違う」はどうやって減らす?

 
そもそも農業を始めたいと思う人はどんな想定をしているのでしょうか。その想定を事前に研修先や就職先に伝えることができていれば問題にならなかったかもしれません。
「給与や勤務時間に不満を持っている」という例もあるようですが、それは事前の確認不足としか言えません。
私が見てきた離農していく人の例を挙げてみます。
競走馬の牧場で勤めていた時に見ていた印象では、就職してきた方の定職率は10%くらいだったかもしれません。早ければ半日で居なくなっていましたし、1日、1週間、半年。1年続く人は10%もいなかったように思います。
アルバイトをしていた畜産牧場でも定職する人は20%くらいでしょうか。
離職した方を見てきた率直な感想は、「あまりにも理想を描き過ぎている」「期待しすぎている」というものです。
農業に転職してくる人の中には、一般組織の人間関係に疲れて自然や動物に癒されたいと思ってきているように見受けられる人が多くいました。農業に携わると動物の温もり、景色や香りなど自然に癒される事もあると思います。では、土木などの建築業や林業にそのような気持で入る人がいるでしょうか?土木業も林業も農業も作業的にはそれほど変わらないと思います。癒しはおまけ程度と考えた方が良いように思います。
 
引用元:新規就農者の35%が離農する現実──未来の農業の担い手を定着させる方法とは?|SMART AGRI
 

現実をみて「想定と違う」を改善する

農業は汚く泥臭い作業も多くあります。土木業や林業に入るくらいの覚悟を持って農業に臨んでいただければ想定と違うという事は減らせるかもしれません。
正直、新規就農者の方々がどんな想定をしているのか分からないので多くを語る事はできませんでした。
ただ、逆に想定していない面白さ、楽しさもあるはずです。上手くいっている農家、楽しんでいる農家、稼げている農家。そんな方々の情報を集めたり出会ったりするのも良いかもしれませんね。
 

まとめ

 
この記事では触れませんでしたが、国が進める研修制度にも不備があると思います。研修生を受け入れる農家に問題のある場合もあるでしょう。
私自身、いくつもの研修制度を利用する事を検討しましたがどれも時間を割くほどの価値を見出せず、親元で手伝っていた方が学ぶことが多いだろうと判断しました。
でも、よく考えていただきたいのです。調理師の見習いだって最初は皿洗いばかりです。短期間で料理を作らせることはできないはずです。
「研修制度を利用して一人前になれると思って始めてみたら不満がいっぱい」そのような受け身の姿勢で経営者になれるでしょうか
私自身「農業経営を学べるところを見つけたい」と探してきました。ですが、ある時気づきました。農業に限らず経営を手取り足取り教えてくれる環境なんてそうありません。
国の研修制度や研修先の農家に頼り切ってしまわず、もっと自分が主体となって、勉強し、人から学び取るべきじゃないでしょうか
就農を自分に合ったもの、想定通りにしていくためには、自分の事、働く先の事をよく知ることも大切だと思います。
その為には、目標や憧れとする農業経営者や農業従事者を見つけるのも良いかもしれません。
「農業を始める」といっても、「飲食業を始める」というのと同じで、経営規模、販売方法、栽培作物によって全く違う業態になると言えます。
自分がどんなスタイルで始めたいのか絞っていき、情報を集め、目標に即して計画を立て、準備をしてから始めるのが重要だと思います。
少しでも自分にあった就農をしていただけるようこれからも情報発信を続けていきたいと思っています。もしご質問やご要望があれば気軽にお問い合わせいただければ嬉しく思います。お問い合わせはこちら
 

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引用元
新規就農者の35%が離農する現実──未来の農業の担い手を定着させる方法とは? | 農業とITの未来メディア「SMART AGRI(スマートアグリ)」
 

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