農業を始めるというのは、飲食業を始めるというのと同じで、経営規模、販売方法、栽培作物によって全く違う業態のように感じるほど多様性に満ちています。
「やってみたら思っていたのと違った」という事を減らすには、自分に合ったスタイルを見つけることがその解決策の一つであると思います。
理想とする農業の形を描くヒントになるかもしれないと思い、成功している農業関連組織や農家の方々を紹介していきたいと思います。
「すでに知っているよ」という方も多いかもしれませんが、農業に興味を持ったばかりの方などの参考になれば嬉しいです。
農業で成功するスタイルは様々
伊賀の里モクモク手づくりファーム(6次化・総合体験型)
地元産の豚肉を売り出すために様々なところで交渉するも価格が折り合わず、それなら自分たちで売ろうという事で、元農協職員の方と養豚農家の方々で人口8000人の町で加工販売を始めました。そして今ではレストラン、様々な体験施設、宿泊施設、温泉となんでも揃った年間50万人も訪れる観光施設になりました。
「収穫体験や動物とふれあいの出来るテーマパークを作りたい」と思っていた自分には理想的で憧れの場所でした。影響を受けて観光農園や乗馬クラブを運営しました。
公式サイト
伊賀の里モクモク手づくりファーム
関連書籍
新しい農業の風はモクモクからやって来る
和郷園 (農業総合商社型)
数百件の生産者農家と連携し、生産物の一元管理、受注・販売を取りまとめています。リサイクル事業の一環として堆肥を作っていたり、冷凍食品などの加工場、レストラン経営、海外販売などを手掛けています。
地方銀行主催の研修ツアーに参加して訪問、これが先進的農業かと驚きました。このような組織が各地で生まれて農協に取って代わっていくのかなと思いました。あれから10年程経ちましたが、似たような組織が乱立するような事にはなっていようですが、そう思ってしまうほど衝撃を受けた組織でした。
公式サイト
和郷園
関連書籍
「結農(ゆいのう)」論―小さな農家が集まって70億の企業ができた
最強の農家のつくり方
木村 秋則 氏 (自然栽培)
病害虫に弱いといわれるリンゴの樹を無農薬で栽培する事に挑戦し、約10年間収入の無い状態を乗り越えて無農薬・無施肥栽培に成功した方。
全国で講演したり、映画になったり、書籍の出版も多く、国内のオーガニック業界に大きな影響を与えている方だと思います。
私も多数の書籍を購入したり、講演会に参加して直接お会いしたこともありました。野菜づくりや土づくりの勉強をさせていただきました。現在は、慣行農法による栽培が主体になっていますが、どの農法からも学べるものが多いと思っています。
公式サイト
木村秋則オフィシャルホームページ
関連書籍
奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録
すべては宇宙の采配
自然栽培ひとすじに
木村秋則と自然栽培の世界
澤浦 彰治 氏 (有機栽培・規模拡大・6次化型)
家族経営の農家から年商20億円の農業法人に拡大していった澤浦氏。著書では自身の経験や農業経営に関する考え方や仕組みを伝えてくれている。
私の親も事業継承を考える年になり法人化も検討し始めています。法人化や規模拡大に備えてもう一度著書を読み返したいと思っています。
公式サイト
グリンリーフ | 有機栽培、無添加加工、化学調味料不使用のこんにゃく、漬け物、冷凍野菜の製造販売
関連書籍
小さく始めて農業で利益を出し続ける7つのルール
農業で成功する人 うまくいかない人――8つの秘訣で未経験者でも安定経営ができる
杉山 経昌 氏 (収穫体験型)
外資系サラリーマンから専業農家へ転身。宮崎県綾町でぶどう狩りの観光農園で成功した後、現在は後継者に農園を委譲して引退しているようです。
著書から凄く影響を受けました。農業経営に関する本で一番感銘を受けた本です。特に労働に対する考え方は今でも強く影響を受けています。
関連書籍
農!黄金のスモールビジネス
農で起業する! ―脱サラ農業のススメ
農で起業!実践編
土田牧場(6次化・観光体験型)
私の住む秋田県では有名な観光地です。ゴールデンウイークやお盆の帰省などで年間十数万人が訪れています。秋田県の人口が100万人を切っていますから驚異的な集客力と言えます。ジャージ牛を数頭飼育する酪農家から始まり、現在は100haを超える敷地で牛を飼育しています。
秋田さきがけ新聞で牧場長土田雄一氏の半生がコラムとして掲載されています。
時代を語る・土田雄一(1)ジャージー牛一筋60年|秋田魁新報電子版
公式サイト
土田牧場TOP
寺坂農園(直販・通販型)
市場に出荷するのではなく、直接お客様に販売して年商1億円を超えているメロン農家。メロンに除草剤を散布されるという1600万円相当の被害を受けた大事件が起こりましたが、クラウドファンディングによる支援を呼び掛けて1800万円以上を集めるという偉業を成し遂げています。
公式サイト
寺坂農園 感動野菜産直農家 | 北海道 富良野から通販で全国へお届け
ブルーベリーファームおかざき(収穫体験・加工販売)
45歳で脱サラし、ブルーベリーの農園を始めた。営業日60日で1万人が訪れ、年収2000万円を稼ぎ出すまでになっている。観光農園のコンサルティングも行っていて、この農園をモデルとした観光農園が長崎のハウステンボスを含む全国83ヵ所に開園しています。
公式サイト
ブルーベリファームおかざき | ひと夏1万人が訪れる農園
関連書籍
最強の農起業!
成功した秘訣の一つ「果樹の無人管理の仕組み」を構築している職人さんのブログ。
京都のブルーベリー職人~独立起農の夢先案内人
ねぎびとカンパニー(農作物・苗・肥料・加工食品販売)
サラリーマンを経てサラリーマン社長として数社を歴任し30歳に山形県天童市で、3年で日本一になるという目標を掲げてネギ農家に転職。ネギ1本を1万円で売るという偉業を成し遂げている。0から始める新規参入で「技術や資産を持っている既存農家の先行優位をどうやって覆していくのか」という戦略的な考えが非常に勉強になりました。
現代ビジネスでコラムが掲載されています。
なぜネギ1本が1万円で売れるのか?(清水 寅)|現代ビジネス
公式サイト
ねぎびとカンパニーオフィシャルサイト
関連書籍
なぜネギ1本が1万円で売れるのか?
稲作本店(直販・6次化)
最近、注目している稲作農家。「収益性が高い」という触れ込みで全国的に広まったアスパラガス栽培。それを手放して、何十年もコメ余りが続いて価格も下落傾向にある稲作を、アスパラガスよりも可能性があると判断し米作りに一本化した。2020年の「7代目米農家が挑む「稲作革命」で、ニッポンの原風景をみんなで守りたい!」と立ち上げたクラウドファンディングでは目標100万円を優に越す300万円を集めた。「田んぼの価値最大化」を目標に次々に新しい挑戦をしているので、これからの活動にも注目しています。
公式サイト
稲作本店
ないとう農園(有機栽培・直売所販売・通販)
こんな農家もいるよーってことで、小さな規模からじっくりと拡大している友人を紹介します。
大学卒業後、自然栽培農家に住み込みで一年研修後、非農家の実家に戻って近所の畑20aを借りて少量多品目栽培をスタート。40aになるまでは鍬一本で耕していました。40a~90aまではミニ耕運機、1haになってからトラクターで耕耘するようになりました。結婚し家族も増え、作業小屋やビニールハウスを建てるスペースのある農家住宅を購入、2021年1月に法人化しました。現在、年間200種類の作物を直売所や通販で販売しています。
堅実にコツコツと規模を拡大していく姿はいい刺激を与えてくれます。
公式サイト
ないとう農園
自分に合ったスタイルを見つける
今回紹介した方々を深く知っていくと、それぞれ想い、目標、狙いが全く違っています。それが面白いところです。
成功している先輩を徹底的に真似るのも一つだと思いますし、先輩からヒントを得たり参考にしたりするのも良いでしょうし、新しい道を自分で拓いていくのもありだと思います。その道筋すら自分のスタイルで良いと思います。
農業に関してだけでなく、事業の考え方、経営の仕方も十人十色、正解はなく自分に合ったものを見つけられる事が大切ではないかと思います。
自分のスタイルを見つけるにはたくさん試す事だと思います。そのヒントは色々なところで出会えると思うので、情報を得て実際に動いて試して磨いていくのが良いかなと思います。私も日々勉強中なので、オススメの農家の先輩などあれば教えていただきたいと思っています。よろしくお願いします。お問い合わせはこちら
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