RCEPいつ始まる?農業への影響や問題点は?

画像提供元:Instagram/n0731mitch
 
2020年11月15日にASEAN関連首脳会議の機会でRCEP首脳による共同声明が出されると共に、協定の署名が行われました。
その頃のニュースで見掛けていましたが「いつ始まるのか」「農業にどんな影響があるのか」など知らないまま過ごしていましたが、調べて記事にまとめました。
 

記事の内容
 
■RCEP(アールセップ)ってなに?
 
■RCEPはいつから始まる?
 
■国内ではどのように決まる?
 
■始まると農業にはどんな影響がある?
 
■まとめ
 
 

RCEP(アールセップ)ってなに?

 
日本語訳にすると「地域的な包括的経済連携」となり、参加国と様々な分野で経済連携をしていくことになります。
 

参加国と経済圏

ASEAN(東南アジア諸国連合)の構成国である ブルネイ 、カンボジア 、インドネシア 、ラオス 、マレーシア 、ミャンマー 、フィリピン 、シンガポール 、タイ 、ベトナムの10ヵ国と日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドを加えた合計15ヵ国による協定です。
世界のGDP、貿易総額及び人口の約3割、日本の貿易総額のうち約5割を占める地域との協定になります。
貿易・投資の促進及びサプライチェーンの効率化に向けて市場アクセスを改善し、発展段階や制度の異なる多様な国々での間で知的財産、電子商取引等の幅広い分野のルールを整備します。
 
引用元:RCEP協定概要PDF資料
 

共通のルールづくり

対象分野は、物品の貿易、原産地規制、税関手続及び貿易円滑化、衛生植物検査措置、任意規格・強制規格及び適合性評価手続、貿易上の救済、サービスの貿易、自然人の一時的な移動、投資、知的財産、電子商取引、競争、中小企業・経済協力及び技術協力、政府調達、紛争解決等
内容は割愛しますが、この範囲におけるルールも取り決められています。
 
引用元:RCEP協定概要PDF資料
 

RCEPはいつから始まる?

 
2020年11月15日に15ヵ国のRCEP首脳が署名しました。しかし、この時を持って発効した訳ではありませんでした。
まず、すべての国が自国に持ち帰って議会などの承認を得なければいけません。
ASEAN10ヵ国のうち6ヵ国、その他6ヵ国のうち3ヵ国の国内手続きが完了した段階で発効となるようです。
 
2021年1月22日現在、どの国も手続きが完了していないようです
 
まだ始まっていません、まだ始まる様子が見えていません。というのが現状です。
 
引用元:RCEP、15カ国が署名 世界貿易3割の大型協定に:日本経済新聞
 

国内ではどのように決まる?

 
国内に持ち帰った後、どのように決まるのでしょうか。
ある職員の方のお話しでは、個別の関税率について是非を問うなどの個別の案件に対する審議は行うことなく、決まっているものに対してYES、NOで審議されていくのではないかとの事でした。
それでも、現行の貿易状況から大幅な改定する事になるのでどのようなプロセスを経てどの時期に手続きが完了するのか私如きには全く見えてきません。
 

始まると農業にはどんな影響がある?

 
農業についての前にサクっと工業についてご紹介します。
 

日本の工業製品輸出について

14ヵ国全体で約92%の品目の関税撤廃を獲得したようです。
中国及び韓国との無税品の割合が上昇しました。(中国:8%→86%、韓国19%→92%)
良く分かりませんが凄い気がします。
 
引用元:RCEP協定概要PDF資料
 

農林水産部門の輸出について

中国向け
米菓、パックごはん等:現在の税率10%→0%(段階的に21年目撤廃)
という感じで現在5%~12%のものが関税撤廃になっていく訳ですが、その中でも一際目立つのがありました。
清酒:現在の税率40%→0%(段階的に21年目撤廃)
これは凄いですね。
因みにウィスキーは現在5%で11年目に0%、焼酎は現在10%で21年目に0%になります。
その他大きなところは、豚肉、鶏肉、鶏卵は現在8%~20%のものが11年目、16年目に0%になり、かんきつ(ゆず等)が現在30%で21年目に0%になります。
 
韓国向け
韓国もお酒の関税撤廃が目につきます。
清酒:15%→0%(段階的に15年目撤廃)
ビール:30%→0%(段階的に20年目撤廃)
ウィスキー:20%→0%(段階的に10年、15年撤廃)
焼酎30%→0%(段階的に20年目撤廃)
 
RCEPが始まれば中国や韓国で日本酒やビール、焼酎ブームが起きるかもしれませんね。
特に、韓国向けのビールは現在の関税でもかなり人気らしいので業界の利益が伸びそうです。
 
※現在の税率は2020年11月のものです。
引用元:農林水産品輸出関連の主な合意概要
 

農林水産部門の輸入について

最後に農産物の輸入についてご紹介していきます。ここは農家である私が一番気になるところでした。
水産業は概ね守られている印象を受けました。詳しくは農林水産省の資料をご確認ください。
林業については割愛させていただきます。
農業分野は範囲が多岐に亘るので私が気になった点だけご紹介させていただきます。
まず、米、麦、牛肉、豚肉、乳製品、甘味資源作物は関税の削減・撤廃から除外されました。
 
生鮮野菜
元の税率が3%~6%で概ね16年目で撤廃される予定です。ただし、韓国との間では関税撤廃から除外されている品目が多く、続いて中国も他の諸国に比べて除外されている品目が多くなっています。
 
一時保存処理又は冷凍野菜
元の税率は10%前後が多く、生鮮野菜同様中国や韓国が関税撤廃から除外されている品目もありますが、概ね11年目や16年目に関税撤廃する予定です。
 
生鮮果物・ナッツ類
ナッツ類は関税撤廃に向かうものが多くあります。
果物で除外が際立ってみえた品目はパイナップルでした。
その他は概ね関税撤廃に向かいます。
大きな影響のありそうなところは、柑橘類は韓国を除き現在の17%から16年目には0%。ぶどうは中国、韓国を除き現在の17%7.8%から16年目に撤廃。りんごも現在の中国、韓国を除き現在の17%から16年目には撤廃されます。
 
ジャム・加工品
一時保存処理された果物や、ジュース、ジャム、果物の加工品、野菜の加工品なども現在5%~40%の品目があり、かなりの数の品目が関税撤廃に向かいます。ジャムやジュースへの影響はかなり大きいように思います
 
その他
穀粉(そば粉、小麦粉、大麦、ライ麦等)や、ひき割りした穀物及び穀物のミール、穀類のペレットは現在の21,3%、17%、17%から11年目に関税撤廃になります。これも大きな変化になるような気がします。
 
引用元:畜産物、園芸作物等の品目別の交渉結果概要
 

まとめ

 
農産物の品目がかなり多くあったので取り上げ切ることができませんでしたし、見逃しているものもあったかもしれません。
今回調べてみての感想は、生鮮野菜は思っていたより元の税率が高く設定されていなかったことは驚きでした。
野菜や果物の加工品は現在の税率が高いものも多くある事から今まで保護されていたのだと思われますが、これらのほとんどが関税撤廃に向かう事になるので国も進めてきていた6次産業化への影響は出てくるのではないかと思います
 
輸入
農家にとって輸入に関してメリットはないはずです。大幅に安くなる食品もあるので食品業界にとっては大きなメリットになるかもしれません。
 
輸出
資料を見る限り、工業面ではとても良い変化が期待できそうです。
農業分野では、肉が対中国で関税撤廃に向かうようですが、どれほど買っていただけるのか気になるところです。
農家の一人として、対中国、韓国の清酒関税撤廃がどれほど好影響を与えてくれるのかを一番期待しています。
 
 
<出典・引用・参考文献>
RCEP、15カ国が署名 世界貿易3割の大型協定に|日本経済新聞
農林水産品輸出関連の主な合意概要PDF|農林水産省ホームページ
畜産物、園芸作物等の品目別の交渉結果概要PDF|農林水産省ホームページ
地域的な包括的経済連携(RCEP)|外務省ホームページ
RCEP協定概要PDF資料|外務省ホームページ

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