【成功事例紹介】実例から学ぶ農作物のブランド化戦略

 
前回の記事で、「自分に合った農作物のブランド化戦略の見つけ方」という記事を書きました。
 
この記事では実際にブランド化に成功した農家の事例を紹介します。
 

お米のブランド化に成功した事例

 
群馬県沼田市に「真田のコシヒカリ小松姫」というブランド名でお米を販売している農業生産法人株式会社金井農園があります。
 
この農園で生産されたお米は、「米・食味分析鑑定コンクール国際大会」で継続的に受賞していて、高級百貨店などでも販売されています。
 
どれくらいの市場価値になっているのかというのを次でご紹介します。
 

商品の販売価格

金井農園の通販サイトで販売されている最高値の商品は、玄米2kg2,500円です。
 
これを10kgに換算すると12,500円、60kgに換算すると75,000円と驚くべき価格です。
 
但し2kg単位で売っているだけではたくさんは捌けないので、バイヤーなどを通して様々なお客様に販売しているそうです。
(取引先について詳しく知りたい方は、公式ホームページの会社概要で紹介されているのでご覧ください。記事の最後にサイトを紹介します。)
 
現在は、全ての販路を合わせて平均した販売額は60kg30,000円くらいになるそうです。
 
品種や地域によって差はありますが、一般的なお米の60kg販売価格は10,000円~15,000円くらいです。
 
一般的な農家より2倍~3倍の価格で売ることができているという事になります。羨ましい限りです。
 

ブランドの特徴

品種はコシヒカリ、全量食味計を使って測定して評価83点以上のお米のみの販売、農薬・化学肥料不使用で栽培しJAS有機認証を取得しています。
 
細かいところでは、食味の向上の為に乾燥方法を工夫していたり、食味を維持するために保存方法の工夫もしているようです。
 
お客様に届ける商品一つ一つの食味値を測って保証書として添付するというところまで徹底しているようです。
 

ブランドの強み

私が、感じたブランドの強みは以下の点です。
 
1、取り組みの一つ一つから食味に対するコミットメントが感じられる
 
2、食味値という目に見える形で商品が規格統一されている
 
3、有機JASという公開規格に参加しているので安心安全が伝わってくる
 
4、真田信之公から始まるストーリーに合わせた印象的なブランド名を用いている
 

他の生産者との違い

日本最大の食味コンテスト「米・食味分析鑑定コンクール国際大会」で金賞や特別優秀賞などを受賞されています。
 
他の生産者との大きな違いは、一部の圃場のお米だけを丹精込めて栽培して受賞しているのではなく、大会で受賞するような品質基準のお米を全圃場で栽培して販売している所です。
 
よく見かける「大会受賞者が作ったお米」という触れ込みで販売しているのではなく、販売しているお米全てが大会受賞に匹敵する品質であるというのは類のない特徴だと思います。
 
 

観光牧場のブランド化に成功した事例

 
秋田県にかほ市に土田牧場というジャージ牛の観光牧場があります。
 
鳥海山を望む仁賀保高原の景観、小動物とのふれあい、放牧されている牛を見られるなど自然に囲まれてゆっくり過ごすことのできる秋田県の中でも人気の観光スポットになっています。
 
GWやお盆の連休には、観光客や帰省のお客様で賑わい年間十数万人が訪れる場所になっています。
 
お店では牧場で絞った牛乳や、その牛乳を加工して作ったソフトクリーム、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品、更には食肉加工をしてお店で食べられるバーベキュー用の肉やコンビーフなどに加工して販売されています。
 

商品の販売価格

数ある商品の中から比較しやすい商品を2つ選びました。
 
牛乳は900mlで480円、飲むヨーグルトは900mlで780円とどちらも一般的な商品より2倍の価格で販売されています。
 

ブランドの特徴

飼育されている牛は、ジャージ種という種類の乳牛です。
 
ジャージ牛は、国内の乳牛飼育頭数は全体の0.8%と非常に希少な種類です。
 
ジャージ種は全体の98.7%を占める白黒模様で馴染み深いホルスタイン種よりも小柄で搾乳量も3割くらい減ってしまいますが、ホルスタインに比べて乳脂肪分が高く濃厚でコクのある乳製品を作ることができます。
 
土田牧場は、乳製品だけでなく鳥海山を望む広々とした高原の景観も訪れる人にとって非日常的な付加価値になっていると思います。
 

ブランドの強み

私が、感じたブランドの強みは以下の点です。
 
1、景観の素晴らしい立地に牧場がある
 
2、徹底した味に対するコミットメント
 
3、特徴的で希少な乳牛
 
4、自然放牧で健康的な飼育管理
 

他の生産者との違い

与えている牧草は100%自家生産したものです。
 
夏の天気の良い日は数十haある広大な採草地に牛を放牧しているので青草を食べたり日光浴をしたりと牛にとって健康的な飼育環境です。
 
外注している加工品も含めてすべて牧場主が指示を出し味に納得いくまで商品化をしないという徹底した味の管理をしているそうです。
 
牧場で製造している乳製品はどれも、牧場主が自ら製造方法を1から勉強して開発してきたそうです。
 
 

ブランド化を成功させる秘訣

 
今回ご紹介したお二人に共通しているところは、どちらの方も少し会話をするだけで伝わってくる強い情熱があります。
 
そして、何をしたいのか、何を提供したいのか、どうなりたいのか、明確なビジョンを持っていると感じました。
 
もう一つ共通しているところは、品質や良いものが作れるという事に強い自信を持っています。
 
土田さんは、稲作と酪農をやっている農家に生まれたそうですが「お米は美味しいものを作れる気がしなかったので乳牛の道に進んだ」とおっしゃっていました。
 
金井さんは、「群馬県としてはお米の評価は高くないけど、この地域は寒暖差があって土質も良く魚沼産に匹敵する良いお米を作る事のできる所だ」とおっしゃっています。
 
ブランド化を成功させる秘訣と言い切れるか分かりませんが、お二人から強く感じたのは情熱と熱意、商品に対する強い自信でした。
 
 

ブランド化するまでの道のり

 
ブランドとして確立できているお二人ですが、最初に「ブランド化したい」という気持ちで始めた訳ではないというところも重要だと思います。
 
私は、商品を売りたい、商品を高く売りたい、商品を高く売るためにブランド化しなければいけないと考えていました。
 
お二人に出会ってから、ブランド化というのは結果に過ぎないと感じました。
 
成功するまでの道のりを紹介すると非常に長くなってしまうので割愛しますが、酪農も中山間での稲作も経営的に苦しいといわれる分野でした。お二人とも赤字ギリギリの苦しいところから何とかしようと様々な試行錯誤をしてきて現在の成功があったようです。
 

金井農園

販売単価を上げようと高額な出展料を払って農産物の展示会に初参加した頃はバイヤーの方々に見向きもされなかったと言います。
 
「○○の農家が作ったお米」というだけでは売れないという事を学び、差別化できる商品づくりをする為に栽培方法から見直して取り組んでいったそうです。
 

土田牧場

にかほ市にある県が運営する酪農施設に入植しました。5件あった農家は4件が離農して最終的に土田牧場だけが残りました。現在は広大な牧草地や畜舎を全て利用して経営しています。
 
牛乳の生産だけから脱却して乳製品を加工して販売するようになった当初は、街から30分車で登った標高300mほどの高原にある牧場で屋根もない小さなブースでソフトクリームを売るところから始まりました。少しずつ口コミで広まっていき、少しずつ商品も増やし店舗の増築を繰り返して現在の姿に至ったようです。
 
お二人に共通するところは一般的に儲からないと言われる分野でブランド化を成し遂げたというところです。
 
強い信念と努力があればどんな分野でもブランド化に成功できると言えるのかもしれません。
 

公式サイト紹介

 
金井農園
 
土田牧場

 
 

自分に合った農作物ブランド化戦略の見つけ方

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