アスパラガス栽培に排水性は欠かせない
野菜の栽培全般的に言えることですが、アスパラガス栽培でも畑の排水性は欠かせない重要なポイントです。
水田だったところや、すごく水捌けの悪い畑は暗渠が必要です。
明渠(めいきょ)・暗渠(あんきょ)とは?
まず、明渠・暗渠どちらにも入っている「渠」という言葉。これは人工の水路や溝の事を指します。
地表に見える水路を「明渠」といい、地中に埋まっている水路の事を「暗渠」といいます。
私の失敗
暗渠
元々、水田だったところなのでビニールハウス1棟毎の中央に1本ずつ暗渠を通しました。(ビニールハウス建設とセットで委託業者が施工)
後に色々調べていると条間(通路)に1本ずつ暗渠を入れるとなお良いという事を知ります。
明渠
暗渠を入れただけで明渠は掘っていなかったので雨が降ると畑には水が溜まってしまっていました。
更に工事後、問題を発見します。外よりもビニールハウス内の方が低く、水が入ってきて外よりも中の方が水が溜まってしまうのです。
1年目の対策
実際に栽培してみると問題が次々に出てきます。せめてもの救いは暗渠を入れた事でした。排水口を確認すると雨が降っていても降っていなくても年中水が流れています。暗渠が入っていて本当に良かったと思います。
ハウスと外の遮蔽
まずは、外から水が流れ込んでくるのを防ぐためにビニールの裾を埋めました。
明渠を掘る
畑の外側を掘りました。また、ハウスの横に1本ずつ溝を掘って、ハウスの中よりも外の方が低くなるようにしました。そしてそれぞれの溝を排水口まで繋げました。
穴を掘って籾殻を入れる
外に明渠を掘っても端の1棟はハウスの中に水が溜まってしまうのが改善しませんでした。
水が溜まりやすいところを掘ると緑の粘土層が出てくることが多くありました。粘土層は40~50㎝くらいまでで60㎝掘ると砂になります。ここまでくると水が滲んでくるので地下水位はこの辺のようです。
ここまで繋げば大丈夫だと判断して 50~60㎝掘って籾殻を半分くらい入れて埋める「籾殻暗渠」を作りました。(籾殻は排水性と保水性があり面白い資材です。)
1年目の結果
ハウス内で水が溜まる事はほとんどなくなりました。
逆に水捌けが悪く籾殻暗渠をした棟が他の棟に比べて病気に強く、収量も多くなるという現象が起きました。
これは何かあると、2年目は更に対策をする事にしました。
2年目の対策
全通路に籾殻暗渠
籾殻暗渠をした棟のアスパラの状態が良かったので、全部の棟の通路に籾殻暗渠をすることにしました。
本暗渠が70~80㎝くらいに埋設されているので50㎝くらいまでを掘り、水が本暗渠に流れ込むよう繋げました。掘った溝に10㎝くらい籾殻を敷いて埋め戻しました。
外部から流入する水の排除
圃場の入口は斜面になっているので雨が降ると上から水が流れてきます。
大雨になると道路の水まで流れてきてしまうので、用水路に水が流れるように工事しました。
一部の明渠を強化
手掘りで作った明渠の一部をバックホーで、より深く幅の太い明渠にしました。
全体的にやらなかったのは現在の明渠でも機能していてそれほど重要視していなかったので試験的に一部だけやってみました。
2年目の結果
工事をしたばかりなので、効果は来年分かると思います。
掘ることで地中の事が良く分かりました。有機物がとても少ない事、アスパラの根は30~40㎝に多く分布しているという事などです。これを踏まえて来年は土づくりに力を入れる必要を感じています。
これから栽培を始める方へ
排水処置の重要性がお分かりいただけたのではないでしょうか。このように栽培開始後でもなんとか排水性を高めることは可能です。
栽培開始後に手を加えようとすると、栽培開始前の作業よりも労力・時間・資金が多くかかってしまいます。
できる限り排水の処置は栽培前にすることをお勧めします。特に暗渠パイプの埋設工事に関しては事前にやっておくべきだと思います。
栽培場所が決まったら雨の日に行って、水が流れる経路や水が溜まる箇所などを事前に確認しておくことをお勧めいたします。
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