アボカドといえばメキシコ産というのが一般的だと思います。
私もアボカドが大好きでよく食べています。
アボカド栽培について学んでいくと、スーパーに売られているアボカドはハスという一品種でしかなく実は何十種類もあるという事知りました。
そして、消費拡大が進んでいてアボカドの輸入量は年々増加、国産アボカドも増えつつある状況です。
アボカド栽培は儲かるのか、国産アボカドに将来性があるのか考えてみました。
結論
いきなり、結論から申し上げると
可能性は広いが、アボカド栽培は単一品目による新規就農にはあまり向いていない、既存農家の品目転向や拡大、兼業農家に向いている
と思います。
アボカドの需要
国内の需要「アボカド輸入量の推移(㎏)」
出典:農林水産物輸出入統計(農林水産省)
輸入量の順位は
1位 メキシコ
2位 ペルー
3位 アメリカ合衆国
その中でも1位のメキシコが大半を占めています。
最新の統計から10年遡ってみると多少の増減はあるものの右肩上がりに増えていることが分かります。
2011年から2020年の10年で輸入量は2倍になっている事から需要が年々増えている農作物であることが分かります。
物凄く余談ですが、農水省のサイトでアボカドは「アボガドー」と表記されていました。
世界の需要「世界のアボカド生産量(万トン)」
出典:アボカド産業-統計と事実(Statista)
ついでに世界の状況も調べてみました。
国内の消費と同じような右肩上がりで推移していて10年間で約2倍の生産量になっています。
アボカドは国内でも世界的にも右肩上がりに消費が拡大している作物でした。
アボカドの供給
国産アボカドの生産状況
国産アボカドの栽培面積順でみると、愛媛県10.8ha、鹿児島県2.2ha、和歌山県2.2haとなっています。
産地として確立しつつあるのがこの3県だと思われますが、長崎県などでも産地化に向けて準備が進められています。
また、ビニールハウス栽培では北海道や新潟県などに代表されるようなアボカド栽培で有名な農家さんも各地にいらっしゃいます。
ただ、大半の農家が他の作物との兼業で、アボカド専門農家という方はほとんどいない状況だと思われます。
引用元:アボカド統計情報(日本アボカド生産協会)
輸入アボカドと国産アボカドの違い
輸入のアボカドは一般的に流通しているものはほとんどがハスという品種に限定されています。国内の生産者は十数種類の品種を提供している所も少なくありません。
また、完熟させてから収穫し出荷する事も出来るので輸入品に比べて品質を向上させることも可能になります。
現状ではビニールハウス栽培が主流で大半が輸入品の倍以上の価格で販売されています。
アボカド栽培の将来性
産業としての基礎ができつつある
農業としてアボカド栽培を始めるには大量の種や苗を揃えなくてはいけません。
近年、各地で産地化が進んできているので国内でも苗の入手が可能になってきました。
そして栽培ノウハウなども少しずつ発信されるようになってきています。
露地栽培での大量生産がポイント
接ぎ木によって耐寒性のある樹を作る事ができるようになっているので、熱帯植物のアボカドを温帯地域の日本の露地でも栽培する事ができるようになりました。
高級品としてのアボカドはある程度確立されつつあるのかもしれませんが、今後は輸入品より少し高いけど美味しいという中級品が拡がっていくのではないかと予想しています。
国産アボカドは発展途上
個々の農家によるビニールハウス栽培や、一部の地域で露地栽培の産地化が進んできているもののまだまだこれからの産業です。
市場から見るとまだ何も始まっていないと言って良いくらいで、将来的に期待のできる品目だと思っています。
いくつかの地域で産地化の準備が進んでいるようですが、数年以内に動き出せば最初の波に乗り遅れる事もなく、上手くいけば国産アボカドの中心になる事も不可能ではないという状況だと思います。
アボカド栽培は単一品目による新規就農に向かない
可能性がいっぱいの国産アボカドですが、アボカドのみでの新規就農は厳しいと思います。
そう考える理由を挙げてみます。
収入が入るまでの期間の長さ
アボカドは種から実がなるまで約5年、接ぎ木でも約3年かかるといわれています。
同じ果樹栽培でも、リンゴやミカンなど昔から栽培されていた品目であれば樹を継承してするという事例を見かけますが、アボカドではこの方法は不可能なので自力で最初から始めなければいけません。
収入が入り始めて軌道に乗るまで10年近くかかると予想されます。
苗木づくりが難しい
露地栽培をするとなると耐寒性のある品種を台木にして、食味の良い品種を穂木として接ぎ木します。
そうすると、台木用の樹を作るための実が大量に必要になります。
全てを購入する事ができなければ、台木用の実を収穫する為の樹を育てるところから始めなければいけません。
また、穂木としてカットするための用の樹も育てなければいけません。
長崎県などまだ産地化(販売)していない地域でも水面下では数百本、数千本が台木や穂木用としての生産が始まっています。
技術と市場が確立していない
少しずつ書籍やネット、関連団体を通して栽培技術が発信されてきているようですが地域や環境、販売品質に合わせた栽培技術はこれからも手探り状態が続くでしょう。
また、流通販売ルートも自ら開拓していく必要があります。
まとめ
私自身は、長崎県に在住していた頃に「長崎アボカド普及協議会」が開催するセミナーに参加しメンバーの農家さんと交流させていただいて凄く興味が湧きました。関東以南であれば栽培可能と言われていますし、特に九州や四国など温暖な地域での露地栽培は可能性を感じています。
栽培適地は他の果樹と似ているので、果樹農家が品目の追加や転向する一つとして検討する価値はあると思います。
また、週末兼業農家として栽培する事や、定年退職後に向けてベースとなる苗木を少しずつ準備して定年後に本格的に始めるというのも面白いかもしれません。
とにかく国産アボカドはこれからの分野だと思うので今後の展開を見守っていきたいと思います。
アボカド関連団体・農家さん紹介
日本アボカド生産協会
ゆす村農園
鹿児島県からかなり多くの品種のアボカド苗をネット販売している農家さん。
アボカドの橋爪農園
和歌山県からアボカドの果実や苗をネット販売している農家さん。
せきね農園
新潟県で「雪国アボカド」を栽培する農家さん。
糸満フルーツ園 けんちゃん
沖縄県で多種類の果樹を栽培している農家さん。
アボカド関連書籍
日本のアボカド栽培の第一人者、米本仁巳氏の著作。
この一冊でアボカドについて、栽培方法、経営事例、食べ方まで詳しく学べます。
第1章 アボカドの魅力
第2章 アボカドとは
第3章 品種の特性と生かし方
第4章 苗木つくりから幼木期までの管理
第5章 成木園の管理ポイント
第6章 篤農家の経営事例
第7章 アボカドの調理、加工、利用方法
鹿児島県のゆす村農園、東愛理氏著作。
1、アボカドとはどんな作物か?
2、日本で栽培できるおすすめのアボカド品種
3、アボカドを栽培する
4、アボカド栽培にとり組む人々
5、栽培上のトラブルどう防ぐ?
6、国産アボカドの簡単おいしい料理法
コロラド州立大学健康・人間科学部准教授のジェフ・ミラー氏著作(翻訳:伊藤はるみ氏)。
第1章 アボカドの歴史
第2章 アボカドの栽培
第3章 奇妙な果実を売りこむ方法
第4章 さまざまな食べ方
どんな料理に迷う事はありませんか?この本では70のレシピが掲載されています。
Part 1 +αで魅力引き出す
Part 2 さっぱり濃厚 サラダ&スープ
Part 3 ひんやりサイドメニュー
Part 4 あったかサイドメニュー
Part 5 主役のおかず
Part 6 ランチどんぶり&めん
Part 7 パンと一緒に
Part 8 スッキリまろやかスイーツ
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