この記事は、アスパラガス栽培を始める前の
「ビニールハウスの中にどれほどの株を植えるのかイメージできない」
「株間はどれくらいが適切なの?」
という疑問を解消できる内容になっています。
先日、ブログ読者の方からこのような質問をいただきました。
1ビニールハウス(約50mと仮定)あたりに何株植えられるものでしょうか?
ネットだと株間50㎝と書いてありますが、株自体も大きいし、実際どのくらいの距離感なのかイメージできなくて、、、
この質問に答えていきながら株間や株数、条数について解説していきます。
■株間とは
■一株の幅はどのくらいまで広がるの?
■適切な株間とはどれくらい?
■密植2条植えという栽培方法があります
■まとめ
株間とは?
株間は、株と株の間の隙間の長さではなく、株の中心から中心の長さになります。
図を作成しました。
苦手な作業なのでクオリティはご了承ください。
一株の幅はどのくらいまで広がるの?
アスパラガスの根は、以下の図のように年々広がっていきます。
以下の写真は株間35㎝で植えて2年後のものです。
点が中心、円がりん芽があるところです。根は隣同士が完全に絡み合っています。
一株でどこまで広がるのかというと、立茎させるポイント次第でいくらでも広がります。
基本的な栽培方法は、株が広がっていかないように中心付近の芽を立茎させてコントロールしています。
立茎(りっけい)って何?という方もいらっしゃると思います。
ただ、立茎の説明をすると話しが膨らみ過ぎるので、立茎については別記事で紹介したいと思います。
適切な株間とはどれくらい?
一般的には20~40㎝くらいだと思います。
数年で絡み合ってしまうならもっと株間を空けた方が良いのでは?と思う方もいるかもしれません。
どのくらいの株間が適切なのでしょうか。
年々、地下茎の広がりと共に芽を出すりん芽群も広がっていきます。
数年経つとかなりの距離を移動するので、疎植で植えて広がるのを待つという方法も不可能ではありません。
ただ、りん芽からしか発芽しないのでりん芽群が無い場所は無駄なスペースという事になります。
そのスペースが広ければ活用面積が減ってしまい、栽培初期の経営を圧迫します。
実際に行われている栽培方法を見ると根は絡み合ったとしても芽を出すりん芽群の距離が一定程度空いていれば良いという事のようです。
密植2条植えという栽培方法があります
とある実験データを紹介します。(参考文献:アスパラガスの作業便利帳P43)
通常の1条植え株間30㎝と2条千鳥植え株間20㎝を比較栽培した場合、株数は約3倍になり収量も約30%増収したという結果になっています。
4年目までの実験なのでその後はどうなったかは分かりません。
密植は短期間では収量が上がるものの長期間で見ると株の劣化が早く寿命が短くなると推測されます。
アスパラガスは10年以上、長くて20年以上同じ株で栽培している事例があるほど長い期間同じ株を育てることができます。
その良さを消してしまう事になるかもしれませんし、植え替えすると収穫を再開できるのは約3年後からになる事も踏まえなければなりません。
太く短く栽培したいのか、細く長く栽培したいのか、収量のピークを何年くらいに持っていきたいのか、自身の目標と計画次第と照らし合わせて密植栽培や2条植えについて検討する必要があると思います。
以下の写真は地元農家の先輩が2条千鳥の株間25㎝で植えた畝です。
2条植えのメリット
1条での栽培よりも通路が1本減るので単純にハウス内の有効面積が増えて収量が増える計算になります。
2条植えのデメリット
農薬散布で左右の通路から噴霧しても畝の中央部分まで届かないらしく、中央部分は病気の影響が出てしまうと言っていました。
また、風通しも悪くなるので病気の影響は更に高まるはずです。
2条植えについての総括
先輩曰く、いまのところデメリットよりもメリットが上回っているそうです。
栽培条件や経営方針に合っていれば2条植えも検討してみるのも良いかもしれません。
ビニールハウス1棟あたりの株数は?
株数の計算式です。
ビニールハウスの株数=畝数×1畝株数
1畝株数=ハウスの奥行÷株間
私のビニールハウスを例にご紹介します。
奥行52m、間口(横幅)5.4mに2畝、株間は35㎝。
間口5.4m×奥行52mのビニールハウスで株数260本。
計算式では1畝148本になりますが、実際に植えられているのは130本です。
理由は、ビニールハウスの両端は作業スペースを取らなければいけません。奥行全部に植える事ができないので、両端3mずつくらいは削られています。
私のハウスは作業性を考えて通路の幅を広くするため2畝にしました。一般的は間口5.4mの場合は3畝です。
通常の栽培方法で間口5.4m×奥行52mだと株数450本くらいになると思います。
まとめ
最後に私がもしこれから新植するならどうするかという考えをお伝えして終わりにします。
私の経営方針はアスパラガスにあまり無理をさせず健康的に育てたいと考えているので、新植する場合は今よりも少し拡げて株間は40㎝くらい、密植や2条植えは選択しないと思います。
アスパラガスは一度植えると20年以上続けて栽培できる特徴があります。その為、最初の準備全てがとても重要になります。
しっかり勉強して、しっかりと目標や計画を立ててから望むことをお勧め致します。
私自身、アスパラガス栽培に取り組むにあたってネット検索で情報を探しましたが有益な情報に出会う事ができずに苦労した経験から少しでもこれから始める方の役に立てればとの思いから記事にしました。
この記事以外にも多数のアスパラガス栽培に関する記事を書いています。「アスパラガス栽培」というタグからご覧いただけます。
アスパラガス栽培に関して私の知りうる範囲であればどんな情報でも公開できると思います。質問や疑問等ありましたら、お問い合わせやコメントをいただければ嬉しく思います。
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