秋田県で「食味でコシヒカリを超える」という壮大なコンセプトで開発された「秋系821」は「サキホコレ」と命名されました。
秋田のお米と言えば「あきたこまち」を思い浮かべる方も多いはずです。
サキホコレはあきたこまちやコシヒカリを超えるお米にしようと開発されました。
品種の特性、生産環境、栽培規格などからどのような食味になるのか検証しました。
・サキホコレはどんな品種なの?
・サキホコレはどんなところで栽培されているの?
・サキホコレはどんな人が育てるの?
・サキホコレはどんな品質なの?
・サキホコレはどんな食味だろう?
サキホコレはどんな品種なの?
サキホコレ(秋系821)の母は中部132号で、父はつぶぞろい(秋田97号)です。
まず、父母の特徴から見て行きましょう。
父方の特性
つぶぞろいは、母がめんこいなで父がちゅらひかりです。
粒が大きくしっかりとした食感が特徴的で粘り、味、香りのバランス良い品種といわれています。
母方の特性
中部132号は、母がみねはるかで父がひとめぼれです。
母であるみねはるかの食味について有力情報は得られませんでしたが、いもち病の耐性が強い品種のようです。
父のひとめぼれはつぶぞろいと同じく粘り、味、香りなどのバランスの良い品種です。
父母の系統から見えてくるもの
父であるつぶぞろいは母方、父方両方の祖母がひとめぼれです。
サキホコレから見ると、母方の祖父がひとめぼれで、父方の曾祖母共にひとめぼれという事になります。ひとめぼれの影響が色濃いことが分かってきます。
文字だと分かりにくいので系統を図にしました。
品種特性から考えられる特徴
系統をみると粒の大きなお米にしようという狙いを感じます。
また、ミルキークイーンやコシヒカリなどのもち米に近いモチモチしたお米になる要素は系統からは見られません。
サキホコレはどんなところで栽培されているの?
サキホコレは晩成種でもある事から秋田県全域で栽培されるわけではなく、作付推奨地域というものが設定され一部のエリアで栽培されています。
食味を低下させないよう登熟気温に対する一定の条件を設定し、それを確保できる地域で栽培されています。
更に、推奨地域のすべての水田で栽培できるわけではなく、日照や水利条件などの栽培する圃場も審査されているようです。
作付推奨地域に設定されているところは秋田県の中では温暖な地域であきたこまちよりもひとめぼれが多く生産されているところです。
栽培環境から考えられる特徴
秋田県産ひとめぼれと同じような環境で育てられています。
私自身も推奨地域でお米を栽培していますが、他県の米農家さんなどからも粒が大きいとの評価を受けています。
環境的に粒が大きく食べ応えのあるお米が生産できる地域だと思います。
サキホコレはどんな人が育てるの?
高品質で良食味(タンパク質値等)のお米を生産している実績など、一定の要件をクリアした生産者が栽培しています。
生産者から考えられる特徴
選ばれる生産者は気候条件の違いなどがあってもある程度、安定して品質を確保できる技術があると思われます。
サキホコレはどんな品質なの?
食味を確保するため以下の基準を設けて生産されています。
・玄米タンパク質含有率 6.4%以下
・農産物検査等級 1等または2等
・玄米水分含有率 14.0%以上15.0%以下
一番の特徴はタンパク質含量率です。
山形県産つや姫では7.5%以下と設定されていて、山形県産特別栽培米厳選つや姫という商品でも6.7%以下という基準なのを考えるとサキホコレのタンパク質含有量率はかなり厳しい基準だと言えます。
タンパク質含有率が高くなり過ぎると食味が落ちるとされ、近年では各ブランド米で含量率に基準を設けられることが増えています。
品質から考えられる特徴
明確な基準が設けられているので品質が一定に保たれやすくなっていると思います。
また、食味に関してもも期待が持てます。
サキホコレはどんな食味だろう?
品種から考えると食味は少しもっちり系のバランスが良く、粒は大きくしっかりとした食感になると予想されます。
秋田県が紹介している食味チャートではかなり特徴的なポジションになっていますが、系統、栽培環境からいってもコシヒカリの様な香りが強くモチモチ感が強いお米にはなりにくいと思います。
ひとめぼれに近いバランス型で、粒が大きく食べ応えのあるお米になるのではないでしょうか。
別の記事で食べた方々の感想をまとめた記事や、私自身が実際に食べた時の感想を書いた記事などもありますのでよろしければそちらもご覧いただければと思います。
参考サイト
秋田のお米|全農秋田本部
サキホコレについて|ごはんのふるさと秋田へ
水稲新品種「秋系821」に係る作付推奨地域等の決定について|秋田県公式サイト
農研機構|イネ品種・特性データベース
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