雪でビニールハウスが倒壊するのを防ぐ【補強や対策で重要な事】

 
雪によるビニールハウスの倒壊は、農家にとって冬の心配ごとです。秋田県の中でも温暖で雪の少ない私の住む地域でも今年は例年以上の大雪となり、ビニールハウスの周りを何度か除雪をする事になりました。ビニールハウスを建てて3年目の冬でしたが、まともに除雪をしたのは今年が初めてです。
雪でビニールハウスを倒壊させないための対策と基礎的な知識を学んだので皆様にもご紹介したいと思います。
 

記事の内容
 
■倒壊を防ぐ為の緊急対策
 
■雪に強いビニールハウスの資材選びと建て方
 
■雪でも安心できるビニールハウスの設置方法
 
■まとめ
 
 

倒壊を防ぐ為の緊急対策

 

雪の降る前の補強

簡単で効果が高い対策は、支柱を立てる方法です。スノーポールや中柱とも言うようです。
アーチパイプの中央を柱で支えます。柱の立てる間隔を短くすると一本で支えなければいけない重量が減るので強度が増します。3m間隔くらいで設置するのが推奨されています。雪の重みで支柱が地面に食い込まないように根元に板やブロックなどの台を設置するのが理想的です。
 

経験談
埼玉県で市民農園を運営していた時に倉庫としてビニールハウスを使用していました。関東でも時々積雪があります。雪の予報があると支柱を立てていました。立て忘れた時、ビニールハウスを潰してしまいました。支柱は効果が高いと思います。
 

ビニールハウスの脇の除雪

急激な降雪だったり、ビニールが劣化して滑りが悪くなったり、アーチの傾斜が緩やかだったり条件によっては変わると思いますが、基本的にはビニールハウスの屋根に積もった雪は下に落ちてきます。但し、ビニールハウスの脇の雪が積もり過ぎてしまった場合は落ちるスペースが無くなり屋根の雪はそのまま留まってしまって潰れてしまいます。
ビニールハウスの周りに雪が積もっていてこれから大雪が降るという時は、事前の除雪が大切です。
 

 

雪下ろし

ビニールハウスの規格によって強度が大きく異なります。事前に把握しておいて限界を迎える前に雪下ろしなどの対策をするのが理想的です。ビニールハウスが何センチの積雪まで耐えられるかを調べられる計算式が紹介されているPDFファイルのリンクを最後に貼っておきますので参考にしてみてください。
 
ビニールハウスの雪下ろし専用の道具もあるようです。
浅野木工所 ビニールハウスキーパー 頭 24033
 
 
引用元:平成26年2月の大雪被害における施設園芸の被害要因と対策指針|日本施設園芸協会
 

雪に強いビニールハウスの資材選びと建て方

 

パイプの太さ

直径が大きくなれば強度もそれだけ増します。
外径25.4㎜の耐雪強度を100%とすると、22.2㎜は75%、19.1㎜は54%、31.8㎜は206%になります。外径が如何に重要か分かる数値です。
 
 
引用元:パイプハウスの設置及び構造と耐雪強度|石狩振興局
 

パイプの厚み

パイプの強度は直径の大きさだけでなくパイプの厚みも重要なようですが、厚みの違いによる強度を比較した数値を見つけることができませんでした。いくつかの業者さんの資料を見る限り、パイプの直径が19.1~25.4mmのものは厚みが1.2mmで、直径が31.8mmのものは厚みが1.6mmでした。
 

パイプピッチの間隔(アーチスパン)

アーチとアーチの幅が狭いほど強度は増します。
間口6.0m、軒高1.8m、パイプ径25.4㎜のハウスでアーチスパンが45㎝の時の耐雪強度を100%とすると、50㎝は53%になります。5㎝間隔を広げるだけで耐雪強度が半分になってしまう事が分かります。
 
 
引用元:パイプハウスの設置及び構造と耐雪強度|石狩振興局
 

接合方式

パイプとパイプを連結する所の片方が細くなっていて差し込む形のものをスエッジ方式といい、両方のパイプをジョイントに差し込むものをジョイント方式といいます。
スエッジ方式は積雪で天井部分が平らになりやすくなるのでジョイント方式が推奨されています。
 
 
引用元:ビニールハウスの雪害対策を行いましょう|福知山市
 

補強

ビニールハウスを建てる時でも、ビニールハウスを建ててしまった後でもいくつかの補強方法があります。水平ばり・桁ばり、筋交い、タイバー、根がらみによる補強によって強度を増すことができます。詳しくは専門業者の方や引用元の資料をご覧ください。
 
 
引用元:平成26年2月の大雪被害における施設園芸の被害要因と対策指針|日本施設園芸協会
 

雪でも安心できるビニールハウスの設置方法

 

連棟ハウスを避けて単棟ハウスにする

作業上の都合や、設置面積の都合なども考慮する必要もあるかもしれませんが連棟ハウスは単棟ハウスに比べて雪が積もりやすいのでできるだけ控えるのが望ましいといえます。
 

隣棟間隔を広げる

隣り合わせにハウスを建てる場合は、除雪できるスペースを確保します。除雪機が入ることが可能な広さ、落雪がある程度溜まっても大丈夫な幅を取っておくと安心です。
 

排水路の確保

雪解け水によるハウスサイドの水分過多を防ぐ為に事前に排水路を設けておくと安心です。
 

明渠・暗渠工事(排水対策) / アスパラガス半促成栽培

 

まとめ

 
雪の降る地域にビニールハウスを建てる際は、業者の方と積雪に関しても視野に入れながら相談する事が望ましいといえます。
ビニールハウスは農家にとって重要な資産です。雪による倒壊を防ぐ為に事前に準備できればベストなのかもしれませんが、農業をやっていると始めてから気づく事、建ててから気づくことが数多くあります。
農業を始める前、ビニールハウスを建てる前の方に読んでいただき参考になれば嬉しく思います。
 
 
 
<引用・参考資料>
平成26年2月の大雪被害における施設園芸の被害要因と対策指針|日本施設園芸協会

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